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2024.04.03

テキスト要約に生成AIは使える?活用する上での課題・向いている業務

テキスト要約に生成AIは使える?活用する上での課題・向いている業務

2022年にChatGPT(チャットGPT)が登場して以来、飛躍的なスピードで生成AIの研究・開発・業務活用が進んでいます。保険業界も例外でなく、特に生成AIを活用した「テキスト要約」への根強いニーズがあります。

今回は、パートナー企業の株式会社エーアイスクエア(以下、エーアイスクエア社)の金澤様に監修いただき、音声認識テキストの活用方法の中で「テキスト要約」に関して、生成AIの課題をふまえた活用方法を解説します。後半では、生成AIを活用した要約サービスの実際の操作画面を動画でご紹介しております。(動画はこちら

関連記事:2024年3月更新:保険会社の生成AI活用状況、調べてみた!

「テキスト要約」へのニーズが高い保険業界

保険会社は、「万が一の事態に備えての補償」を提供するため、お客様との会話の応対履歴が非常に重要になります。そのため、応対履歴のテキスト量が多くなったり、応対履歴を作成することに多くの時間が費やされていたりと、オペレーターをはじめとする電話応対者の業務に負荷がかかっている状況が多くあります。

ChatGPTが登場したことで、保険業界では生成AIを活用したテキスト要約サービスに対して高い期待感があります。

生成AI活用×テキスト要約の現在地

ここからはエーアイスクエア社の金澤様に生成AIと音声認識と組み合わせることでできるテキスト要約の現在地について伺いました。

AIによるテキスト要約サービスは、2018年頃から世の中に出てきました。この頃は、AIによる「抜粋要約」が主流で、応対内容をテキスト化した上で会話の主たる部分を抜粋した形の要約でした。


しかし、抜粋要約は
「話し言葉で読みにくい」
「重要な単語が正しく認識されていない」
「話し始めの文字が認識されていない」
など、お客様の求めるアウトプットの期待値とは大きなギャップがありました。

期待値とギャップが出てしまっていた主な要因は、「音声認識精度」「ノイズ(※)の量」「話し言葉のテキスト特性」であり、総じて「読みにくい」ことでした。

現在ではChatGPTをはじめとする生成AIが登場し、AIが自ら学習することで期待に近い要約結果を出力できるようになりました。

※ノイズ:相槌や「えー」「あのー」など会話で無意識に話している言葉。

生成AIの課題と活用に向いている業務

様々な活用領域がある生成AIですが、課題もあります。

特に、

  • 情報の正確性
  • 機密情報漏洩リスク
  • 返答時間

の3つの課題をふまえて実務利用を考えることが生成AI活用を成功させるためのポイントとなります。

生成AIは、事前に学習した大規模言語モデルが「プロンプト」といわれる指示書に基づき、なんらかの回答を生成します。この際、文章の生成結果が、事実と異なるケースがあり、「Hallucination(ハルシネーション)」と呼ばれています。

また、返答時間が遅いことで、現状のオペレーションよりも非効率になる業務には生成AIの適用は不向きです。

上記の課題を考慮すると、現在生成AIの活用に適している業務は一定のハルシネーションが許容でき、リアルタイム性を求められない業務です。

生成AI活用に向いている業務・不向きな業務

生成AI活用に向いている業務 生成AI活用に不向きな業務
応対履歴(会話)の要約        オペレーター(電話応対者)へのFAQ提示
FAQ作成・テンプレート作成 リアルタイムモニタリング(応対管理)
チャットボット・FAQシステム ボイスボット
ログ解析・集計作業 パーソナライズ化した対応

※エーアイスクエア社作成

応対履歴(会話)の要約は、オペレーターの業務効率化に直結し、後処理時間の削減に寄与する可能性が高く、生成AIと相性の良い適用領域です。

一方で、お客様対応時のオペレーターへのFAQ提示や応対管理は回答内容の正確性とリアルタイム性が求められるため、生成AIの活用には向かない傾向にあります。 また、パーソナライズ化した対応は、お客様に応じた柔軟な対応が必要となり、生成AI活用には不向きな傾向にあります。

また、チャットボットなどの自動応答ツールは、「一定のHallucinationが許容でき、最終的な品質担保は人による電話対応に委ねる」といったオペレーションフローが組めれば、活用できる可能性があります。

お客様対応以外のFAQ作成やログ分析・集計作業は、業務効率化につながり、生成AIの活用に向いています。

コンタクトセンター向けAI要約サービス「QuickSummary2.0」のご紹介

今や多くの生成AIを活用したテキスト要約サービスがリリースされています。

今回はパートナー企業のエーアイスクエア社が提供するコンタクトセンター向けAI要約サービス「QuickSummary2.0」をベースに生成AIを活用することでどのようなことができるのかご紹介します。

QuickSummary

本サービスは2023年6月に大規模リニューアルされ、auじぶん銀行株式会社など金融系のコンタクトセンターでも導入されています。(プレスリリースはこちら

本サービスの特徴

●生成AI活用前に抜粋要約を組み込むことで、利用料を大幅に低減

QuickSummary2.0は、生成要約前に高精度な抜粋要約を行うことで、生成AIの性能を最大限に引き出しています。たとえば、生成AI活用前に抜粋要約を行うことで文字数を約3分の1に減らし、生成AIの利用料を大幅に削減することができます。

また、抜粋要約の前段階で、個人情報が含まれる発話の除外や言い回しをシンプル化できる機能があります。

●用途に合わせた要約形式の選択が可能

生成要約時には、用途に合わせて複数パターンから要約形式を選択できます。 以下一例です。

箇条書きパターン
箇条書きパターン

CRM登録用パターン

CRM登録用パターン

Q&A抽出パターン

Q&A抽出パターン

●音声認識システムと連携可能
また、本サービスを利用するにあたっては、音声認識システムはどこの製品でも連携が可能です。音声認識後のテキストデータが外部に連携できる音声認識システムであれば、即時連携が可能です。
※音声認識システムを導入していない場合、QuickSummary2.0と合わせて提供することも可能

▼QuickSummary2.0の解説動画はこちら

※本解説動画は実際の音声ではなく、解説用に作成したサンプル動画です


今回ご紹介した生成要約サービス「QuickSummary2.0」を活用いただくことで、業務効率化を実現しながら、ワンランク上のVOC分析にもつなげることができます。

人が入力した応対履歴データではなく、お客様の会話内容をそのままVOC分析に活用することで、より高度な分析やマーケティング活用につなげることができます。


まとめ

今後、保険業界においても生成AIの活用が急速に進むことが期待されています。 しかし、生成AIはあくまでも「人の業務を高度化してくれるツール」に過ぎません。コンタクトセンターへのツール導入がゴールではなく、「現場を熟知した管理者」と「一定の知見をもったメンバー」が連携した運用体制の構築が必要不可欠です。

どのような目的で、どのようなプロンプトを作成し、どのような基準を設けるのか、導入前に関係者間ですり合わせを行うことが生成AIを活用する上で必要となります。

TMJでは、エーアイスクエア社をはじめとするパートナー企業との協力体制を元にAI技術と豊富なビジネス運用の知識を融合させ、企業の課題やゴールに合わせたソリューションをご提供いたします。 「生成AIを業務に活用したい」「そもそもどういった業務に生成AIを活用できるのか相談したい」などぜひお気軽にご相談ください。

TMJの関連サービス:AI LLM (大規模言語モデル)導入支援サービス

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金澤 光雄 氏

監修者紹介

株式会社エーアイスクエア 営業部 ジェネラルマネージャー
大手テレマーケティング会社入社。製造業、小売業、通信キャリアなどを担当し、アウトソーシングやITサービスの企画営業に従事。2016年にエーアイスクエアの創業メンバーとして参画。
現在は営業責任者として、各種AIシステムの導入支援・定着支援、クラウドPBX構築支援、DX推進やAI導入に向けた業務コンサルティングなどに従事。