お役立ち情報
2024.01.11
コンタクトセンターの離職防止、原因と解決に向けた取り組み
カスタマーサポートにおいて重要な役割を担うコンタクトセンターですが、コンタクトセンターを支えるオペレーターの早期離職は長年の課題になっています。
採用とセットで考えることが重要な「離職防止」。離職防止に力を入れることで、採用人数を減らすことができ、オペレーターにとっても働きやすい環境作りにつながります。
TMJでは、知見の集約と活用を通した成果創出に向けて、生命保険会社を担当するコンタクトセンターの管理者と営業担当が月に1回集まる場を設けています。
今回は、「離職防止」をテーマに同じ悩みや課題を抱えている者同士のディスカッションから出てきた取り組みの一部をご紹介します。
離職の原因とは?
業務内容が難しい
入社前は、業務ができると思っていても、いざ入社してやってみると想像以上に業務内容が難しく、続けられるか自信を失ってしまうケースはよくあります。
たとえば、本人確認業務は保険業務でよくある業務ですが、最初から完璧に行うにはハードルが高い業務でもあります。
気軽に相談できる人がいない
業務知識や経験が豊富でお客様とのコミュニケーションが得意な人は、コンタクトセンターでは頼りになり必要不可欠な存在です。
しかし、業務に不慣れな人には、そんな先輩に圧倒されてしまい、気軽に悩みを相談できずに一人で抱えてしまい、離職したいという思いが募ってしまうケースは少なくありません。
フォロー体制が十分に整っていない
管理者自身が忙しく、新人オペレーターのフォローを十分にできていないケースもあります。
管理者は、エスカレーション対応や事務タスクなどに追われ、フォローしたくでもできない環境にあることがあります。また、コンタクトセンターの体制として、業務の実施ばかりに目がいき、不安や不満を解消できる場を設けられていないこともあります。
離職防止に向けた取り組み
コンタクトセンターで避けたい大事なオペレーターの離職ですが、具体的にどのような離職防止策があるのでしょうか?ここでは、実際に「離職防止」に向けて生命保険会社を担当するコンタクトセンターの管理者と営業のディスカッションで出てきた、TMJの取り組みの一部をご紹介します。
研修時の講師を新人SVにお任せする
業務経験が長く、知識が豊富なSV(※)が研修講師の場合、オペレーターが基礎的な質問をしづらいケースがあります。
一方、研修の講師が新人SVの場合、入社した頃の気持ちや不安をより覚えていることがあり、新人オペレーターの気持ちに寄り添った研修ができる可能性があります。
※SV:スーパーバイザー。現場でオペレーターの育成やフォローを担当し、社内外の関係者と合意したサービスレベルの価値提供を行う役職。
オペレーター同士の横のコミュニケーションの活性化
1ヶ月・2ヶ月という節目のタイミングでフォローアップのコミュニケーションを取る機会は重要です。
フォローアップ時には、管理者がフォローするのではなく、活躍している経験豊富なオペレーターが座談会のようなカジュアルな雰囲気で1on1や面談でフォローする場を設けることでよりコミュニケーションが活性化する可能性もあります。
「これってこう習ったけど、こうとらえた方が良さそうだよね」
「こう整理した方が私はしっくりきた」
など、オペレーター同士同じ目線で相談できる横のコミュニケーションを活性化させることで、研修と実務の差を埋め、不安解消につなげることができます。業務内容自体の難易度を下げることは難しいですが、オペレーターが必要以上に負荷を感じないように、工夫することはできます。
そして、結果的に業務習得が難しいことを理由とした離職を抑えられたケースもありました。
また、管理者が業務で忙しい場合にも、経験豊富なオペレーターが相談役になることで、管理者の負担を軽減することができます。また、オペレーター自身もコンタクトセンターで業務以外でも貢献いただける場ができることで本人の自信につながる可能性もあります。
オペレーターが新人育成に貢献することを昇格の項目に含めているコンタクトセンターでは、業務習得が難しいことを理由に離職したオペレーターが65%減ったケースもありました。
次のアクションにつながる1on1の実施
SV、LSV(※)がオペレーターに1on1を隔週で実施することで、定期的に状況を把握し、悩みの早期発見・解消やモチベーションの維持・向上に取り組んでいるコンタクトセンターもあります。
1on1では、それまでの取り組みへのフィードバックを行うことで承認を行い、信頼関係を築きながら、次のアクションの宣言をする場になっています。この承認と宣言のサイクルを繰り返すことで、オペレーターのフォロー体制の強化につながり、離職防止にも間接的につながります。
※LSV:リードスーパーバイザー。複数人のSV(スーパーバイザー)をまとめる役職。
1on1関連記事:コンタクトセンターのマネジメントにコーチングは有効か?
まとめ
実際にオペレーターの離職に困っているコンタクトセンターの課題に対して、別のコンタクトセンターが「うちではこんなことやっているよ」と自分達の取り組みを共有する中で、上記のような事例が出てきました。 普段の業務では、困っていることに対してコンタクトセンター内での縦のラインでの相談が多くなりがちですが、他のコンタクトセンターの横のラインにも相談することで、組織横断で知見を共有し、活発な議論を行い、より良いコンタクトセンターの運営につなげています。コンタクトセンターによってそれぞれ状況は異なり、離職抑止に向けて試行錯誤を重ねています。
保険会社様でも拠点連携の課題を抱えている会社様も多いかと思います。TMJの取り組みが課題解決のヒントになれば幸いです。
TMJでは、これからもオペレーターにとって働きやすい環境を作りながら、企業の課題や悩みをサポートしてまいります。コンタクトセンターの導入や活用をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。